「サンドブラスト」という名称だけでは天然砂の使用を意味しません。ここでは abrasive blasting を清掃・表面変更、shot peening を管理された機械的処理として扱います。重要な図面には英語の工程名と要求結果を併記してください。

混同したくない三つの名称

abrasive blasting は、選んだ媒体を表面に投射して清掃または状態変更を行う広い分類です。鉱物系研磨材、アルミナ、ガラスビーズ、金属ショットなどを使えます。通称のサンドブラストだけでは、媒体、工程条件、受入基準は決まりません。[1]

shot blasting は、スケールや汚れの除去、肌づくり、後工程の準備を目的とするショット投射を指すことが多い用語です。一方 shot peening は、表層の塑性変形と有効な圧縮残留応力状態を目的とする管理工程です。現場の呼称は重なるため、図面には英語名、処理範囲、目的を明記します。[2]

溶接部を鋼球で清掃しても、それだけで規定に適合したショットピーニングにはなりません。ガラスビーズの指定だけでも、要求するピーニング状態の達成は証明できません。[1][2]

表面では実際に何が変わる?

Aは角張った研磨材による清掃と表面形状の変更、Bは丸いショットによる圧痕と模式的な圧縮層を示す。
A:研掃ブラストによる清掃と表面形状変化の例。B:丸いショットの衝突と模式的な圧縮層。粒子、圧痕、深さは縮尺どおりではなく、どちらの工程にも副次的な作用があります。

塗装前のブラストでは、指定した清浄度と表面形状を得ることが目的です。適切な媒体はスケール、さび、旧塗膜を除き、外観や肌を変えられます。触って粗いだけでは油分の除去や塗膜密着性を証明できません。形状の測定法と目標値は、採用する塗装系または案件仕様で定めます。[1][3]

管理されたピーニングでは、繰り返す衝突で小さな塑性圧痕と圧縮残留応力を持つ表層が生じます。表面から疲労亀裂が始まる部品には有効な場合があります。ただし効果は材料、既存欠陥、形状、荷重、認定された工程に依存します。既存亀裂は修復できず、寿命も保証しません。[2]

作用は完全には分離しません。研掃ブラストも残留応力を変えることがあり、ピーニングも粗さを変え、表面の高い部分を除去し、薄物や精密部品を変形させることがあります。写真や設備だけでなく、目的と検査結果で判断します。[1][2]

媒体や設備の排他的な分類ではなく、主な管理目的を比較
比較点清掃・表面形状を目的とするブラスト管理されたショットピーニング
主目的指定した表面物を除去し、塗装に適した表面・外観を得る指定した表層塑性変形と圧縮残留応力状態を得る
代表的媒体母材と目的で選ぶ。角張った研磨材やガラスビーズは一例通常は形状と状態を管理した丸い金属・セラミック・ガラス球
検査項目範囲、清浄度、残留物、表面形状、外観範囲、強度、カバレージ、媒体状態、マスキング、完成寸法
推定できないこと粗さだけで密着性や疲労性能の向上を証明すること丸い球だけで強度や疲労寿命を証明すること

部品の機能から選ぶ

塗装または粉体塗装する板金筐体では、母材、既存のスケール・塗膜、外観、塗料メーカーの前処理条件を確認します。ブラストを選ぶなら、清浄度、表面形状、汚染防止、塗装までの清潔な保管方法を決めます。ねじ、シール面、電気接点、位置決め面、外観要求の異なる面はマスキングします。ブラストは前処理の一工程であり、脱脂や塗膜の最終承認に代わりません。[1][3]

ばねなど繰り返し荷重を受ける部品では、材料、熱処理状態、荷重、疲労上の重要部位、処理禁止面を先に特定します。ピーニングが適切なら、適用する工程仕様に従い強度、カバレージ、媒体、記録を決めます。カバレージ不足や過剰処理は疲労性能を悪化させる場合があり、長時間処理が常に良いわけではありません。[2]

薄いブラケットや精密はめあいでは、どちらの処理の前にも変形、端面、穴、ねじ、組立基準を検討します。重要寸法は指定した完成状態で検査します。[2]

図面や見積依頼には何を書く?

「ブラスト」や「通常どおりピーニング」とだけ書かず、目的、範囲、受入方法を示します。未決の条件は根拠のない共通数値で埋めず、記録を伴う技術検討事項とします。

塗装前処理では、母材と初期状態、除去するもの、塗装系、処理・保護範囲、清浄度と表面形状の測定方法、許容残留物、保管と塗装の順序を示します。表面形状の目標値は塗装仕様に合わせます。[1][3]

管理されたピーニングでは、材料・熱処理状態、疲労上の懸念、処理・保護範囲、適用工程仕様、媒体状態、Almen 試験片の種類と飽和管理を含む強度、カバレージ、記録、寸法の再確認を示します。Almen のアークハイトとカバレージは工程管理値であり、部品の残留応力分布や疲労寿命を直接測定する値ではありません。性能証明が必要なら別の方法と合否基準を決めます。[2]

避けたい四つの誤解

工程名は検査可能な要求に結び付いて初めて役立ちます。図面や発注書に入れる前に次を確認してください。

  • 「丸い鋼球なら適合するピーニング」。似た媒体・設備は清掃にも強化にも使えるため、後者には強度、カバレージ、受入管理が必要です。[1][2]
  • 「粗いほど塗料がよく付く」。指定形状に加え、清浄度、汚染、塗料系、施工条件も重要です。[1][3]
  • 「ピーニングで疲労寿命は必ず延びる」。部品、荷重、工程範囲によって決まり、不足や過剰処理は逆効果になり得ます。[2]
  • 「処理後の寸法検査は不要」。衝突は外観、形状、はめあいを変える場合があり、特に薄物では注意が必要です。[2]